今回はライブハウスでのサウンドチェックの効果的なやり方を書きたいと思います。
当店での平均的なサウンドチェック時間は20~30分ですが、これも決して長い時間とはいえません。
サウンドチェックというのは、段取りやマナーを覚えておくことで効果的な時間になります。
ぜひ参考にしてください。
他店でも役に立つ情報ですが、他店と考え方の違いもある可能性もありますし、ホールやアリーナなどになるとまた状況も違います。あくまでもオクトパスでの場合ということで読んで頂ければと思います。
- ライブハウスに入るときはもちろんのこと、STAGEに上がる前にもスタッフに挨拶してください。これは僕達が偉そうにしているという意味ではなく、通常マナーとして「バンド名を名乗って。よろしくお願いします。」という挨拶は業界ではどこでもします。元気な声でお互いに挨拶をしましょう。
- サウンドチェックで演奏する曲は事前に打ち合わせしておきましょう。楽器メンバーがコーラスをする部分とか、音量が大きめの曲、音量が小さい曲、ギターソロの部分などサウンドバランスをチェックしやすい部分をピックアップしておきましょう。STAGE上で「えっと….どこやる〜」というような無駄な時間は使わないこと。
- アンプのセッティングなどは手短に行う。単体の音作りでいくら時間を掛けても実際の演奏するまで最終決定は出来ません。ある程度アンプのセッティングが出来たら、速やかに音を止めて準備出来たという意思表示をしてください。そうしないと他のメンバーもだらだらと音作りを続けます。
- ドラマーはシンバルの傾き方などの本当に些細な調整は本番直前の転換時にしましょう。サウンドチェック後にどちらにしてもばらしてしまうのですから、サウンドチェックに影響しないような些細なことにあまり過敏にならない。とにかく短時間でドラムを組む。後は対バン形式で転換も短い場合は出来る限り持ち込み機材は減らす。
- マイクスタンドやコーラスマイクのスタンドも自分で位置を決めるて自分で立てる。自分の責任でやらないと本番中にマイクが傾いたり、モニター・スピーカーとの位置関係が悪くてもすべて自己責任です。
- メンバーのセッティングを監督する役目が誰かを決めておく。そして何分以内でセッティング完了させるという目安を作っておく。20分のサウンドチェックに10分以上セッティングが掛かるほど馬鹿らしいことはない。
- セッティングが終わったメンバーはだらだらと音を出さない。音を止めてPAさんに完了しているという意思表示を体でする。
- 各パートのチェックの前後に「お願いします」という挨拶をする。ライブハウスによってはSTAGEとPA席がかなり遠いこともあるので、元気よく対応しないと、PA席からはこのメンバーに声や意思が届いているのか? 話が伝わっているかと不安になります。
- 大抵はドラムのチェックからスタートします。PAさんに指示されたように叩く場合、本番と同じ音量で叩くこと。
- サウンドチェック時に他のメンバーは音を出さない。リバーブやディレイTimeなどの繊細な設定もしているので、ざわざわと話をしたり騒いだりしない。
- 曲でお願いします。と言われたら前記したように予め決めておいた楽曲で演奏。サウンドチェックなので、演奏しながらアンプの微調整などをできる事は敏速に行う。だらだらと長く演奏せずにある程度のとこで演奏を止めて、PAさんとディスカッションをする。
- 自分の音が聞こえにくい場合の対策をする。
・音量を上げる前に自分がアンプに近づいていみるという選択をする。
・音量を上げる前にトーンを調整してみる。ベースの場合は中音域を上げると聞き取りやすくなる。
・ボーカリストはマイクが口から離れていないか? マイクに口が当たるくらい近づけて歌ってみる。モニターに向かって歌っているか。
・音量を上げる場合は念の為にPAさんにあげてみることを伝える。
・アンプで音量を上げることが難しい場合はモニタースピーカーから自分の音を返してもらう。 - 他のメンバーの音が聞きたい場合は、モニタースピーカーに返してもらう。
- モニターが聞こえにくい場合などにはネガティブな言い回しでリクエストしないこと。悪い例「自分の声が聞こえません!(・へ・)」「ギターの音が聞こえません!(・へ・)」ではなくて、「モニターにXXXの音を返してもらえますか?」という感じにお願いする。
- むやみにSTAGEからおりて外の音を聞きにいかない。STAGE上の音が完璧で時間に余裕があれば問題ないが、STAGE上の音が決まっていないうちからは客席におりない。原則としてSTAGE上で自分達がやりやすいバランス感であれば、当然外の音も大丈夫なはずです。サウンドチェック中はとにかくSTAGE上で自分達が演奏しやすい環境を作ることだけに傾注する。
- STAGE上で音が聞こえにくい、やりにくいという場合。
・一旦モニター関係は切って、STAGE上の音量を全員が下げてみる。
・ベースは低音が出すぎていないかの確認。
・ドラマーの叩き方が大きすぎないか。とくにシンバルの叩き方が大きすぎないか。大きくてもバランスが良ければ問題ないので、音量の問題だけではないが、ガシャガシャ、ドタバタと雑なドラミングだと他の楽器の音がモニターは確実にしにくくなります。
・単純にボーカルの声量がない可能性も。その場合にマイクの感度を上げれば上げるほど、そのマイクが周りの楽器やドラムの音も拾っていって結局は自分の声は聞こえないという悪循環になります。声量のないボーカルさんの場合は正直いってドラムが優し目に叩いてあげて、周りが音を下げてあげるのが最良の方法です。 - サウンドチェックが終了したら、アンプのメモリは100%記憶しておく。メモをとるか写真をとってセッティングは本番で完璧に再現する。ボリュームが1〜2メモリ違っても大丈夫と思わないこと。中音のバランスが変わったら、サウンドチェックの意味がそもそもなくなるたため。エフェクターの設定も同様。
ざ〜と書いてみました。いかがですか?
これでもちろん全てではなく、各パート毎に沢山の気にすべき点はあります。しかし今回はおおまかな部分にとどめます。
サウンドチェックのポイントはとにかくSTAGE上の自分達のバンドの音を決める時間だということです。
自分の好みの音とそのバンドに合った音が必ずしも=でない場合もあります。
その見極めとサウンド作りの知識は当然必要です。
余程のプロバンドでも無い限り、客席に下りて出音があーだこーだというのはオクトパスに限らず他店でも止めたほうが吉です。
外音があーだこーだとサウンドチェックでいう人に限って、本番が終わったらSTAGE上の音がやりにくかったという事が多いです(T_T)
ですので、外音はPAさんを信頼して、とにかくSTAGEで自分達が気持よく演奏出来る環境を作る時間にしてください。
気持ち良いというのは決して自分が好きな音を好きなだけ出すという意味ではありません。
歌がメインのバンドは当然ボーカリストが一番やりやすい環境を作ってあげてください。
アンプはいくらでも音が上がりますが、ボーカルというのは限度があります。
ボーカルを聞こえるようにとモニタースピーカーの音量を上げ続けると、当然その音を自分のマイクが拾うことになり、それはハウリングやフィードバックの原因になります。
ボーカルのマイクの感度(gain)を上げる、前記したように周りの音を拾いやすくなって、これも悪循環です。
当店のように小さいライブハウスの場合は正直な所ギタリストやベーシストが気持ち良くなる位にアンプの音量を上げると大抵はボーカルが聞こえないという現象が起きます。
とくにハードロックやヘヴィメタルバンドではSTAGEの音量を上げたくなる気持ちも分かりますが、逆にそういうバンドほどSTAGE上の音はスッキリさせておかないと、お客様が聞く音が大きすぎたり、音が飽和状態で汚いということになります。
僕自身の経験上、ヘヴィなバンドは意外なほどSTAGE上の音はクリーン(小さいという意味ではないけど)です。
僕自身がツーバスを踏みまくる世界トップのドラマー達と演奏した経験が多いのですが、彼達は音量は大きいですが、ドラムのサウンドバランスは本当にクリーンです。
そういう方達と演奏する場合は僕自身のベースサウンドも出来る限り低音はクリーンにします。
ハードなバンドの場合はドラムのベース・ドラム(キック)とベースのサウンドが一緒になった時に程よい低音ということを意識しています。低音というのは本当にやっかいなもので、人が不快になる周波数というのは、実はブーンと壁を伝って響く低周波の低音です。
ギターの音量というのは大きい、小さいが分かりやすいですが、ベースの低音が物凄くでていることは意外に本人たちは気がつかないことが多いです。
そういう意味でサウンドチェックというのはPAエンジニアとの共同作業であるといえます。
その共同作業に時間を使うためにも、前記した段取りをしっかり意識してPAエンジニアがお客様が聞く外音を作る時間を十二分にとれるように時間管理し協力することが大切なのです。
本日はこの辺で。
OWNER 西本圭介